伊藤惇夫 政治評論家

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政治評論家の世界でも、与党の政治家に近い人が多くいますが、野党に近い政治評論家はさほど多くありません。その中の1人である伊藤惇夫さんは、政党職員として長らく働き、政治評論家に転身した1人です。1948年8月28日、71歳の伊藤惇夫さんは、神奈川県葉山町の出身です。学習院大学を卒業した伊藤さんは、一度出版社に就職し、政治とは離れた場所で働いていました。1973年、まだ20代の伊藤さんは当時総理大臣だった田中角栄さんに依頼され、自民党の事務局で働くことに。当時の自民党は派閥抗争が一番激しい時期で、自民党最大の危機と言われた四十日抗争も自民党の党職員の立場から見ていました。激動の自民党の時代を見続けた伊藤さんは、政治改革を支える立場となりますが、自民党を退職。1994年から新たに誕生した新進党の総務局で働きます。


新進党自民党から飛び出て政権奪取に成功した人たちで構成されますが、仲間割れもあって長くは持たず、新進党自体も解党状態に。1996年から様々な野党の事務局で働き、1998年には民主党で働きだします。新党が立ち上がれば事務方のトップとして招聘される時期が続いた伊藤さん、政治評論家を名乗るようになったのは21世紀にはいってからです。伊藤さんは自らを政治アナリストと名乗り、様々なテレビ番組でコメンテーターとして活躍します。


伊藤さんが現在のテレビにおいて貴重な存在なのは、野党の立場から政治を読み解くことができる点にあります。最初のキャリアは自民党で始まり、その後、野党の事務方で働き続けますが、野党の立場も与党の立場もわかっている政治評論家はなかなかいません。特定の政治家と仲がいいだけで、現場の人間は何を考えているかという部分を言えないため、誰でも同じような状況に。その点、伊藤さんはどちらの立場も痛いほどわかるため、独自の取材もしやすく、政治家も心を開きやすいというわけです。現在の政権与党と距離が近い政治評論家が多くなっている現在、伊藤さんのような存在は貴重。だからこそ、東京や大阪などのワイドショーなどに頻繁に呼ばれています。現在71歳と年齢を重ねていますが、日本の政治の問題について鋭く切り込んでおり、それでいて話が分かりやすいため、視聴者からの支持も集めている状況。大変な状況ではありますが、それでもくじけることなく、幅広い意見を提示してくれる伊藤さんの姿に今後も注目です。