浜田幸一 政治評論家

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政治部出身の新聞記者、元秘書、官僚など様々な経歴を持つ人が政治評論家を務めていますが、一番説得力がある政治評論家は元政治家ではないでしょうか。その中の1人で、お茶の間でも知られる政治評論家だったのが浜田幸一さんです。1928年9月5日、浜田幸一さんは千葉県君津郡青堀町で生まれました。父親は地元の名士でしたが、敗戦後に戦犯者として扱われ公職追放の憂き目に遭い、一気に転落し、破産に追い込まれます。父親の無念を晴らす、浜田幸一さんは強い決意を胸に秘めます。


浜田さんは日本大学に入学しますが、遊びに明け暮れて中退。ただ、地元では青年団の活動に参加し、後に総理を務める竹下登さんなどと知り合います。富津町議、千葉県議を歴任し、1969年、2回目の挑戦で衆議院議員選挙に初当選を果たします。その後、世間で知られるような暴れん坊ぶりを発揮し、数多くの問題行動を起こしますが、同時に行動力があり、政務次官予算委員会の委員長を務めるなど活躍。最後まで大臣にはなれませんでしたが、この息子は浜田さんの息子靖一さんが果たしています。


1993年、総選挙に出馬せずに引退すると、その直後、「日本をダメにした九人の政治家」という本を出します。浜田さんが政治家として許せない人物を書いた本でしたが、これが100万部を超えるベストセラーに。政治評論家としてこれ以上ないスタートを切った浜田さんは、タレントとしても活躍するほか、TVタックルに出演し、若手議員を相手に歯に衣着せぬ発言、暴言スレスレの苦言などを披露するなど、お茶の間の人気を集めます。無鉄砲に発言をする印象がありながらも、実際は計算をして発言することも。自らが勉強ができなかった分、息子を留学させ、政治の帝王学を学ばせるなど、先を見る目があったのも特徴的です。


田中角栄三木武夫福田赳夫など過去の総理大臣に直接暴言を浴びせるなど、怖いもの知らずだった浜田幸一さん。晩年はブログやTwitterといった最新技術にもチャレンジしていました。しかし、2010年に背任の容疑で逮捕されるなど最後までトラブル続きだった浜田さんは、認知症などの症状が進行したことで公判が停止され、最終的には83歳でこの世を去ります。これまでに多くの政治評論家が世に出ていますが、タレント性の高い政治評論家の先駆けであったことは言うまでもなく、政治家としてはもちろん、政治評論家としても確かな実績を残しました。