岸井成格 政治評論家

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政治評論家にも王道があり、新聞で政治部記者を務めて、論評を行うようになる人はその王道にいると言えます。毎日新聞主筆を務め、テレビのコメンテーターとしても活躍した岸井成格さんがその1人です。

1944年9月22日生まれで東京都出身の岸井成格さん、お父さんもまた毎日新聞で働き、政治部長を務めるほか、衆議院議員に転身した方でした。典型的な慶應ボーイの岸井さんは、慶應義塾普通部から慶應義塾高等学校慶應義塾大学法学部を卒業し、毎日新聞社に入社します。1970年に政治部に移動し、様々な記者クラブを担当。当時の佐藤栄作首相が退陣する際の記者会見で、新聞記者を会場から退場させた時に先陣を切って出ていくことになったのが岸井さんでした。その後、ワシントン特派員やサンデー毎日の編集部の異動を経て再び政治部に戻り、政治部長編集委員論説委員論説委員長を経て、2004年には眞一新聞初の特別編集委員、2010年には主筆となるなど、毎日新聞になくてはならない存在となります。


毎日新聞と関係が深いTBSの番組を中心にコメンテーターとして活躍した岸井さん。特にサンデーモーニングでは長らく登場し、コメンテーターのシンガリを務め、これまでに出てきた意見をまとめつつ、全く別の視点から政治などを語ることがありました。2013年からはNEWS23のアンカーを務めるなど、TBSで活躍し続けますが、2015年、安保法案の報道を巡り、メディアの中ではかなり根強く反対を主張したために、安保法案に賛成の立場に立つメディアからの猛攻撃や官邸からの目に見えぬ反発などにさらされた結果、NEWS23のアンカーを降板させられ、守勢に立たされてしまいます。その後、2007年から続くガンの影響もあって体調は悪化、それでもテレビに出続けますが、2017年11月以降はテレビに登場せず、2018年5月、73歳という若さでこの世を去りました。


早稲田大学では客員教授を務めるなど、後身の指導に当たっていた岸井さん。日本ニュース時事能力検定協会では理事長を務めるなど、分かりやすくニュースに触れ、時事的な知識を深める活動を行っていました。岸井さんはリベラルの立場から政治を見ており、保守化、右傾化が進む日本において徐々に目立った存在になっていきます。岸井さんが亡くなって以降よりその傾向は強まっており、天国で何を思うのか、岸井さんなら今の政治、国際情勢をどのように語るのか、非常に気になるところであり、まだまだ長く生きてほしかったです。